2023年5月に定期開校を始めた「寺子屋じゃあさ」です。5月は毎週水曜日の一日だけの開校から始めました。今年の新1年生の男の子、女の子が一人づつの寺子屋の始まりです。二人とも、保護者の方が送り届けて帰っていく姿を見て、「私たちだけここに残されたけど。。。」と一様に不安そうな表情を見せていました。
3月から岐阜県加茂郡七宗町の小さな集落「室兼」で築100年ほどの古民家を志のある大人の方々のご協力を得て活動ができるように整備している間にも通う予定の子ども達のご家庭にも参加してもらっていました。ですが、実際に預けられることに戸惑う表情をみせていました。ですが、登校してきて1時間もすると自由に遊んでいいことが分かり、またその自由が保証されていると分かるようで、安心し子ども達は自然体で過ごすようになりました。
そうして、まずは週に一度寺子屋で過ごす、見守りをする私(井川)との関係を作っていくという5月でした。3回も過ごしてみると、今度は「もっと寺子屋じゃあさに来たいー」という思いになってきました。水曜日の寺子屋の時間が終わりご家庭に迎えに来てもらったとき、じーっと下を見つめて「帰りたくない」「もっとここで遊んでいたい」という思いを全身で表してくれる二人。この子たちは週に1度この寺子屋に通う以外は公共の学校に行かないと決めていたり、行くにしても給食の時間と昼休みの時間だけで精いっぱいという子ども達です。
子ども達のかけがえのない「今」という時間を、やはり週に1度だけ友達と過ごすのでは足りないという思いは私にもあり、6月から週2回の開校にすることにしました。ますます子ども達は私にも打ち解けてきて、また、連続した2日間で登校できることで寺子屋での活動にクリエイティブが加わってきました。作品を一日では作り切れない、夢中になった遊び・創造力を続けたい、せっかく生まれたそういう思いを潰さないように、より創造性を膨らませるために。連続した2日間というルーティンが子ども達の日々の安定につながっているという実感も湧いてきました。さて、この寺子屋じゃあさの日々の姿を、井川のフェイスブックや寺子屋じゃあさの公式フェイスブックで投稿しています。この活動はPCA(ペアレント コミュニティ アソシエーション)という概念を作り実践する、というねらいがあります。既存の学校に通わない状態になっている子ども達に対し、大人が取れる手だてをいろいろ模索されているいまの社会です。公教育・既存の学校に戻したい、という思いや対応がまだまだ多い世の中において、非常に少数派ではあるものの、「敢えて既存の教育システムに通わない」という信念で「登校拒否」を選んだご家庭を支援するのが「寺子屋じゃあさ」です。その信念、理念はそれぞれのコミュニティの在り方でよいと思います。そのコミュニティ共通の思いでその子ども達の日常生活・学習の機会の確保(教育の義務)を自らの行動で起こしていこうというのが、「PCA」概念です。肝は、「思うだけでなく、実践して本当に学校に代わる居場所(フリースクールといってもいいし、学童といってもいいし、寺子屋といってもいいと思います)を作っていくこと」。この動きがこれからの時代に必要な社会活動だと思うのです。寺子屋じゃあさの活動報告を読んでくださる方、実際に井川からご案内などをさせて頂く方の中からこの寺子屋じゃあさの日々の活動を具体的に応援しよう、という仲間が生まれてきました。
それが、子ども達が滞在する時間をボランティアで見守り手伝いを引き受けてくださる方、寺子屋環境の資材の為に机や季節用品を提供してくださる方。そして、運営費用をサポートするためにイベントを企画して運営してくれる方、セミナーを開催して運営費のサポートやますますの協力者を巻き込んでくださる方。そういった方々のお陰で開校して3カ月目の7月、週3回の定期開校をする運びになりました。利用の子ども達は、当初から通っている小1の二人だけです。でも、この二人のかけがえのない「今」という時間を無為に過ごさせることはできない、人数の多い少ないではなく、目の前のただ一人の人の為にやれることをやる、その思いが横へ横へと広がり支援・応援してくださる方が増えてきているのだと思います。
この子ども達は、社会システムを変える宝のような子ども達だと思っています。なぜなら、保護者でない大人達をも動かしたからです。私たち大人の日々の生活はつい大人達の時間の使い方・大人達の生活の正当性が優位になりがち。でも、子ども達の生活・人間性を守るために大人の生活の一部分を変化させたのです。すごいことですよね!これがPCAという概念と実行なのです。
このPCAという概念で、いまの社会問題の不登校児童生徒の日常生活のあり方について各地で実行する団体が生まれてくるといいな、と思っています。
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